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ローソンチケットの電子チケットアプリ問題と星野源コンサート初日状況報告

2017/6/10 誤字修正と電子チケットの転売逮捕者について追加

私は星野源のファンである。けど今回はこれを書いておく。

ローソンチケット電子チケットアプリの国際SMS送信問題 #ローチケ #電子チケット - Togetterまとめ @lawson_ticket

今回YELLOW PASSという転売防止対策を評価していたのに実装とクレーム後の対応で台無し。アーティスト側の思いをシステム構築で踏みにじるとはSIerとして残念だよ!

2017/05/18 20:23

今回の電子チケットによるトラブルについては上記まとめが詳しいのであるが、途中で情報セキュリティ問題などで著名な独立行政法人産業技術総合研究所 高木浩光氏がローソンアプリを調査したうえで「YELLOW PASSってなんだわからん」と書かれていたので、説明と合わせて今回の電子チケットアプリに至るまでの流れも書いておきたい。

私はファンで、CDやDVDはもちろん買うがコンサートも当たれば行きたい(数年前までは家庭の事情で行けなかった)。しかし昨年は3回申し込んで1度も当たらなかった。いま日本有数でチケットの取りにくい人気者である。しかし星野源には現在チケット優先の一般的な方法となるファンクラブは存在しない。代わりに、先行チケット販売などを行う専用サイト「YELLOW PASS」へのログインアカウントなどが付いてくるファン向け雑誌が存在する。年に1回発行する予定の『YELLOW MAGAZINE』がそれで昨年第1回が発行された。この雑誌を私も早速購入して「YELLOW PASS」にて最新コンサートツアーであるContinuesのチケットを取得できた。対象端末を持ってないので紙チケットを選択した。

www.hoshinogen.com

今回の星野源コンサートにおいては、従来の紙チケットとあわせて電子チケットが初めて導入された。下記URLはFAQサイトであるが、紙の場合には写真付きの公的身分証明書が必須である。一方電子チケットは原則不要となっている。アプリで電話番号での認証を行えるためだと思われる。

LIVE TOUR 2017『Continues』 - 特設サイト

なぜここまで身分証明が厳しいかというと、星野源の所属する事務所アミューズが、いわゆるチケット転売での諸問題に対して積極的に反対しているためである。下記が転売反対の公式サイトで、公式転売サイト「チケトレ」が5月に稼働開始されている。

www.tenbai-no.jp

もともとアミューズはサザンオールスターズなどで厳しく対応されていたのであるが、星野源においては前回まで本人チェックはなかった。しかし今年1月に開催されたコンサート「YELLOW PACIFIC」において、2日間1万人の客席に対して、事前に身分証明書の提示を必要とすることを告知し、そのうえで当日紙チケットにて身分証明書のチェックを行った。そして転売で取得したり、家族が子供を申し込んだなどを含む名義不一致をすべて入場させない対応をしたことがわかっている。

これより「会場のキャパ5000のうち、今日は700ぐらいが空席だった」とのツイートを一時期公式アカウントが「いいね」していたのをファンが多数確認しており、実際に参加されたファンも空席が目立つことを驚いていたし、親が子のチケットを取得する際に親名義にしていたことで、入場できなかった事例もでていた。これだけの強い姿勢をみせていた前回があるため、今回のコンサートも同様になることは、ファンや転売屋なら予測している状況であろう。

そんななか、今回の電子チケットには身分証明不要以外に非常に魅力的な機能が付いていた。それが公式に転売可能になる仕組みの提供であった。

前述のとおり身分証明を厳しくしたことで、紙チケットは申し込み名義者以外は絶対に入場できないことになっている。これによって転売は減るが、一方都合がつかなくなった場合転売も出来ずそのまま空席になっていた。ファンにとって金銭的にも心理的にも悲しい思いしか残らない。しかし今回の星野源の電子チケットは、参加できない場合にリセールを行えるようにするとの案内がでた。この発表にファンは大変喜んだ。

アーティストがのぞむ転売屋を介さず、ファンに譲ることができて、まだ手に入ってないファンにとっては、日本有数の人気者、星野源のチケットを手に入れるチャンスが増えるということでもある。

星野源のチケットはローソンチケットが独占だった。転売は前述のチケトレではなくローソンチケットでの対応となっていた。そして5/11に紙および電子チケットの配布開始とあわせて転売(リセール)方法が発表された。

http://continuestour.amuseblog.jp/continuestour/2017/05/live-tour-2017c-4be0.html#page_content

これの配布にて電子チケットを選択したファンがアプリを導入しようとしたところで、今回の海外SMSによる高額課金が発生したことになる。システム的な問題としてはローソンチケット側が仕様を変更したことでユーザーへ様々な問題や認証費用を押し付けた形であり、正直この設計を良しとした関係者は「ファンの思いを利用してファンに費用を転嫁」したかったのだろうと思われる。違うのなら、こんな設計でよしとはしないだろう。

5/21より、このチケットを使ったコンサートが開始される。現状が改善していない状況できちんと全員がチケットを取得できるのかを一番心配した。

 さてここまでを5/20に書いた。実は5/21当日福岡にて私はコンサート会場であるマリンメッセ福岡の入場口前にいた。紙チケットにて取得していたのは初日だったため、自分で入場状況を確認できることになった。

入り口は電子チケットと紙チケットで分かれていた、紙チケット側は一人づつ身分証明書との突合せが行われた。私はマイナンバーカードを申し込みしたが1か月たっても届かなかったため、急いで原付免許を取得してその場で提示した。

会場内は満員。空きは見つけられない状態。入場できない方が大量に出たなどはなさそう。実際に当日電子チケット利用者のツイートを探すと下記のような報告があった。

場所がバッティングして、電子チケット側のアプリが最新でなかったため電子チケット側の場所変更などはあった模様。とはいえ電子チケットがトラブル発生してもいいように特設会場にて手続きできるようになっていたので、転売から購入してなければ入場できた模様である。トラブル対応に万全をはかり、入場遅れにも臨機応変に対応できたあたり準備がきちんとされていたと思われる。安心してコンサートを楽しめた初日であった。

 コンサート会場で一安心をしたのであるが、その後調べると福岡公演において電子チケットでは身分証明がなかったことがはっきりした為、神戸公演に対して携帯電話ごと貸出する転売屋が出てくるなどが報告されている。まだまだ転売屋との闘いは続いている。また本日星野源が所属するアミューズがLINEと提携して電子チケットのシステムを構築すると発表した。ローソンチケットは今後使われないのかもしれない。

www.itmedia.co.jp

追記:上記で書いた携帯電話ごと貸し出す転売屋が逮捕された。